【テーマ】低収入で豊かに生活する生き方A班
【取材先】NPO法人Collable代表理事 山田小百合さん
【メンバー】南川智美、和田梨沙、山田実加、富井景子、鈴木菜美
【インタビュー人物】

本日インタビューをうけてくださったのはこの方。
みなさん覚えてるでしょうか。
そうです。
先日キャリア教育の時間でお話に来てくれた山田小百合さんです。
【プロフィール】
山田さんは1988年生まれの大分県出身です。
東京大学大学院 学際情報学府 山内研究修士。
専門は学習環境デザイン、インクルーシブデザイン、ワークショップです。
多様性と相互理解をキーワードに、障害者やマイノリティ等が参画できるコミュニティーづくりを実践するNPO法人Collable代表理事。
多様な人々の社会参画やコミュニティーを円滑に推進するための仕掛けづくり、インクルーシブデザインを利用した価値創造のためのワークショップなどを展開しているそうです。
【NPOとは?】
Non Profit Organizationの頭文字をとったネーミングです。
Nonprofitとは非営利、Organizationとは団体・組織を意味します。
すなわち、直訳すると非営利団体ということです。
NPOの要件として、
1.民間で
2.公益に資するサービスを提供する
3.営利を目的としない
4.団体
とされています。そのうち、特定非営利活動促進法(いわゆるNPO法)にもとづいて、法人格を取得した団体をNPO法人と言います。
日本で1番多い種類のNPOは、介護やお年よりのための活動のような福祉について活動しているところになります。
2番目以降は、森林の保護などの環境についての活動であったり、自然環境の保全や再生、農業や山林・里山の維持、地球温暖化対策、環境教育など、さまざまな分野で専門性を活かして活動するものが多いようです。
例えば今千葉県のNPOでは浦安と九十九里の住民交流をテーマに九十九里野菜の販売ボランティアなどを行っています。
農地の無い浦安市民に対し、浦安市民の食を支える存在になるために、対面販売にて、九十九里野菜をお届けする、というものです。
こちらはまだスタッフを募集していますので、興味のある方はぜひどうぞ!
先日山田さんは障害のある子供たちと「モノで演じる、エンゲキで遊ぶ」というワークショップを行いました。
写真を一部紹介します!
これは浦島太郎などを劇を、体を使って表現する活動です
そのあとこちらが紙を落とさないようにするゲーム。
大人も子供もみんな熱くなってます。
みんなでアーチをして絆を深め合おう!
どれもみなさん楽しそうですね!
【営利を目的としない活動】
NPOって非営利活動をするものなのに、お金をもうけていいの?
という疑問が出てくると思います。
非営利とは、お金をもらわないで(無償)活動するということではありません。
組織を運営していくには経費を要します。
メンバーからの会費収入や寄付金だけでは、本来目的とする事業を遂行するには十分ではないことが多いと考えられます。
そこでNPOも事業により収入を得て、安定して社会に存続していくことが求められます。
そのためなら、人を雇うことも可能です。
【「営利を目的とする団体」との違いはどこにあるのか?】
「営利を目的とする団体」との違いはどこにあるのかといいますと
得られた収益を社員や株主で分配するのが営利企業です。
非営利で活動するNPOはこのような利益の分配を行わず、利益は今後の事業に充てなければなりません。
利益の分配の有無が営利・非営利の分かれ目となるのです。
【NPOに対する社会からの期待】
公益、つまり世の中の不特定多数のもののための利益は、行政が担う分野と認識されてきました。
しかし行政の原則は平等、公平です。
要するにみんな同じに扱われなければなりません。
ところが、現代は人々の価値観は多様化し、社会問題も多種多様となっています。
こうなると、平等、公平の原則に配慮し、法令に基づいて動かなければならない行政では、すばやく、きめ細かな対応が難しい場面が出てきます。
例えば、災害など緊急事態が発生したときや、これからさきのことを考えた先進的な試み、規模は小さいけれども見逃せない社会問題などです。
一方、行政に比べて小回りがきき機動性に勝る民間非営利団体は、個別の活動だけを見れば範囲は限られているかもしれませんが、全体としてみれば、行政での対応が難しい分野をカバーしつつ、行政とともに公益を担っていく可能性を持っていると言えます。
今までは、社会は行政と企業によって支えられていると考えられてきました。
つまり、行政はみんなにとって利益となる分野を、企業は自分の利益の追求の分野を担っていたわけです。
しかし民間非営利部門がこの二つの勢力と並ぶ第三の勢力として成長したらどうでしょう
行政と並んでみんなにとっての利益を担う力を持つようになれば、市民主体の社会の実現に大きく役立つでしょう。
この第三勢力の担い手として、NPOに期待が集まっているわけです。
【 NPOの収入ってどのくらい?】
以上の説明でNPOについて少しはお分かりいただけましたか。
話を戻しますと、先ほど非営利=無償ではないといいましたが、どのくらいの収入をNPOの人たちはもらっているのでしょうか。
一口にNPOにも収入があるといっても一般の企業とはどの程度の差があるか気になりますね。
産経新聞からデータをピックアップしてみると、
NPO従事者の8割が活動を通じて収入を得ており、無給の人も含めた平均年収は約160万円。
年収300万円未満の人が3分の2以上を占めたそうです。
一方、仕事の評価は「内容がおもしろい」(91・7%)、
「能力がいかせる」(86・8%)と多くの人が満足しています。
この結果は、企業で働く社員と比べ収入面では低いが、仕事に対する評価は高いです。また、アルバイトなど非正規社員と比べると収入も仕事に対する評価も高いです。
平均年収160万!
一般に労働時間が企業労働者より短いこと、兼業者や無給のボランティアがいることなどを差し引いても、いくら何でも安すぎではないでしょうか。
しかも若者を有給で雇用できるNPOは事業規模が大きいところにほぼ限られているそうです。
企業ではNPOのように刺激的でおもしろい仕事にかかわれる機会が少ないといえますが、若者を雇用する力があるNPOは多くはなく、雇用しても高い給与は払えないのが現状だそうです。
山田さんにお話をお伺いしたところ、実際山田さんのサービスを提供する相手も、経済的に余裕がある相手ばかりではないので今はそこまでもらえていないとのこと。
本人はいつか障害のある人の雇用の援助を通して企業からお金を得たい、と考えているようでした。
【 「やりがい」さえあれば労働条件は悪くても大丈夫なの?】
それにもかかわらず仕事内容そのものの満足感は高いのです。
「仕事の内容がおもしろい」
「能力が生かせる」
「信頼できる上司がいる」
の3項目で8割以上の高率だそうです。
一方、「雇用が安定している」
「福利厚生が充実している」
「給料がよい」
といった項目では企業の正規労働者を下回ります。
下回るといっても、企業労働者の満足度も決して高くはなく(「給料がよい」は3割強ほど)、かえって現在の企業の労働環境の悪さがよくわかってしまいますが、それでも経済的条件という点で、多くのNPOの労働者の立場が企業労働者に比べて不安定であることは確かである、と考えられます。
お話をうかがったところ、現に山田さんもNPOの収入だけでは足りないため、京都造形大学、専修大学、その他様々な大学などで授業のお手伝いをして収入を得ていると言っていました。
収入よりも「やりがい」を
山田さんも多くのNPOで活動している人と同様に、活動の中にやりがいを見出している方でした。
なぜこんなにも多くの人が低収入にも関わらず様々な活動を率先して行うことができるかというと、お金以上に価値があるからこの仕事についているという結論に至りました。
特に山田さんは人と会い、コミュニケーションをとって自分の糧にすることで、自分の豊かさにつながると考えているかたです。。
たくさんの人とふれあい、自分の身に蓄積できるものはたくさんあることでしょう。
それこそお金では手に入れることのできないものの一つです。
このひとことで私たちは考えさせられました。
私たちは今回のインタビューを通して収入の高さが人生の満足度の高さに必ずしもつながることではないのだと学びました。
今現在NPOの活動を通して、人と会ってふれあうという欲求を満たされている山田さんはとても生き生きしておられました!
私たちに、そして今の社会に必要なことはこの精神なのではないでしょうか。
高収入ではありますが劣悪な職場環境と労働条件の中で働くサラリーマンの方が増えてきてる世の中です。
今一度、私たち日本の社会の中に生きる人々は、お金と収入のはかりをもう一度見直してみるべきだと思います。
今回の取材では私たち大学生もいずれ社会人になる身として、人生で大切なものは決して一つではないということを学ぶよいきっかけとなりました。
以上、ここまで長い文章となりましたが、目を通してくださった方、ほんとうにありがとうございます。
取材に応じてくださり、丁寧なアドバイスたくさんしてくださった山田さんには感謝しきれません。
これで私たちの取材の報告を終わりにしたいと思います。
【取材先】NPO法人Collable代表理事 山田小百合さん
【メンバー】南川智美、和田梨沙、山田実加、富井景子、鈴木菜美
【インタビュー人物】

本日インタビューをうけてくださったのはこの方。
みなさん覚えてるでしょうか。
そうです。
先日キャリア教育の時間でお話に来てくれた山田小百合さんです。
【プロフィール】
山田さんは1988年生まれの大分県出身です。
東京大学大学院 学際情報学府 山内研究修士。
専門は学習環境デザイン、インクルーシブデザイン、ワークショップです。
多様性と相互理解をキーワードに、障害者やマイノリティ等が参画できるコミュニティーづくりを実践するNPO法人Collable代表理事。
多様な人々の社会参画やコミュニティーを円滑に推進するための仕掛けづくり、インクルーシブデザインを利用した価値創造のためのワークショップなどを展開しているそうです。
【NPOとは?】
Non Profit Organizationの頭文字をとったネーミングです。
Nonprofitとは非営利、Organizationとは団体・組織を意味します。
すなわち、直訳すると非営利団体ということです。
NPOの要件として、
1.民間で
2.公益に資するサービスを提供する
3.営利を目的としない
4.団体
とされています。そのうち、特定非営利活動促進法(いわゆるNPO法)にもとづいて、法人格を取得した団体をNPO法人と言います。
日本で1番多い種類のNPOは、介護やお年よりのための活動のような福祉について活動しているところになります。
2番目以降は、森林の保護などの環境についての活動であったり、自然環境の保全や再生、農業や山林・里山の維持、地球温暖化対策、環境教育など、さまざまな分野で専門性を活かして活動するものが多いようです。
例えば今千葉県のNPOでは浦安と九十九里の住民交流をテーマに九十九里野菜の販売ボランティアなどを行っています。
農地の無い浦安市民に対し、浦安市民の食を支える存在になるために、対面販売にて、九十九里野菜をお届けする、というものです。
こちらはまだスタッフを募集していますので、興味のある方はぜひどうぞ!
先日山田さんは障害のある子供たちと「モノで演じる、エンゲキで遊ぶ」というワークショップを行いました。
写真を一部紹介します!
これは浦島太郎などを劇を、体を使って表現する活動です
そのあとこちらが紙を落とさないようにするゲーム。
大人も子供もみんな熱くなってます。
みんなでアーチをして絆を深め合おう!
どれもみなさん楽しそうですね!
【営利を目的としない活動】
NPOって非営利活動をするものなのに、お金をもうけていいの?
という疑問が出てくると思います。
非営利とは、お金をもらわないで(無償)活動するということではありません。
組織を運営していくには経費を要します。
メンバーからの会費収入や寄付金だけでは、本来目的とする事業を遂行するには十分ではないことが多いと考えられます。
そこでNPOも事業により収入を得て、安定して社会に存続していくことが求められます。
そのためなら、人を雇うことも可能です。
【「営利を目的とする団体」との違いはどこにあるのか?】
「営利を目的とする団体」との違いはどこにあるのかといいますと
得られた収益を社員や株主で分配するのが営利企業です。
非営利で活動するNPOはこのような利益の分配を行わず、利益は今後の事業に充てなければなりません。
利益の分配の有無が営利・非営利の分かれ目となるのです。
【NPOに対する社会からの期待】
公益、つまり世の中の不特定多数のもののための利益は、行政が担う分野と認識されてきました。
しかし行政の原則は平等、公平です。
要するにみんな同じに扱われなければなりません。
ところが、現代は人々の価値観は多様化し、社会問題も多種多様となっています。
こうなると、平等、公平の原則に配慮し、法令に基づいて動かなければならない行政では、すばやく、きめ細かな対応が難しい場面が出てきます。
例えば、災害など緊急事態が発生したときや、これからさきのことを考えた先進的な試み、規模は小さいけれども見逃せない社会問題などです。
一方、行政に比べて小回りがきき機動性に勝る民間非営利団体は、個別の活動だけを見れば範囲は限られているかもしれませんが、全体としてみれば、行政での対応が難しい分野をカバーしつつ、行政とともに公益を担っていく可能性を持っていると言えます。
今までは、社会は行政と企業によって支えられていると考えられてきました。
つまり、行政はみんなにとって利益となる分野を、企業は自分の利益の追求の分野を担っていたわけです。
しかし民間非営利部門がこの二つの勢力と並ぶ第三の勢力として成長したらどうでしょう
行政と並んでみんなにとっての利益を担う力を持つようになれば、市民主体の社会の実現に大きく役立つでしょう。
この第三勢力の担い手として、NPOに期待が集まっているわけです。
【 NPOの収入ってどのくらい?】
以上の説明でNPOについて少しはお分かりいただけましたか。
話を戻しますと、先ほど非営利=無償ではないといいましたが、どのくらいの収入をNPOの人たちはもらっているのでしょうか。
一口にNPOにも収入があるといっても一般の企業とはどの程度の差があるか気になりますね。
産経新聞からデータをピックアップしてみると、
NPO従事者の8割が活動を通じて収入を得ており、無給の人も含めた平均年収は約160万円。
年収300万円未満の人が3分の2以上を占めたそうです。
一方、仕事の評価は「内容がおもしろい」(91・7%)、
「能力がいかせる」(86・8%)と多くの人が満足しています。
この結果は、企業で働く社員と比べ収入面では低いが、仕事に対する評価は高いです。また、アルバイトなど非正規社員と比べると収入も仕事に対する評価も高いです。
平均年収160万!
一般に労働時間が企業労働者より短いこと、兼業者や無給のボランティアがいることなどを差し引いても、いくら何でも安すぎではないでしょうか。
しかも若者を有給で雇用できるNPOは事業規模が大きいところにほぼ限られているそうです。
企業ではNPOのように刺激的でおもしろい仕事にかかわれる機会が少ないといえますが、若者を雇用する力があるNPOは多くはなく、雇用しても高い給与は払えないのが現状だそうです。
山田さんにお話をお伺いしたところ、実際山田さんのサービスを提供する相手も、経済的に余裕がある相手ばかりではないので今はそこまでもらえていないとのこと。
本人はいつか障害のある人の雇用の援助を通して企業からお金を得たい、と考えているようでした。
【 「やりがい」さえあれば労働条件は悪くても大丈夫なの?】
それにもかかわらず仕事内容そのものの満足感は高いのです。
「仕事の内容がおもしろい」
「能力が生かせる」
「信頼できる上司がいる」
の3項目で8割以上の高率だそうです。
一方、「雇用が安定している」
「福利厚生が充実している」
「給料がよい」
といった項目では企業の正規労働者を下回ります。
下回るといっても、企業労働者の満足度も決して高くはなく(「給料がよい」は3割強ほど)、かえって現在の企業の労働環境の悪さがよくわかってしまいますが、それでも経済的条件という点で、多くのNPOの労働者の立場が企業労働者に比べて不安定であることは確かである、と考えられます。
お話をうかがったところ、現に山田さんもNPOの収入だけでは足りないため、京都造形大学、専修大学、その他様々な大学などで授業のお手伝いをして収入を得ていると言っていました。
収入よりも「やりがい」を
山田さんも多くのNPOで活動している人と同様に、活動の中にやりがいを見出している方でした。
なぜこんなにも多くの人が低収入にも関わらず様々な活動を率先して行うことができるかというと、お金以上に価値があるからこの仕事についているという結論に至りました。
特に山田さんは人と会い、コミュニケーションをとって自分の糧にすることで、自分の豊かさにつながると考えているかたです。。
たくさんの人とふれあい、自分の身に蓄積できるものはたくさんあることでしょう。
それこそお金では手に入れることのできないものの一つです。
このひとことで私たちは考えさせられました。
私たちは今回のインタビューを通して収入の高さが人生の満足度の高さに必ずしもつながることではないのだと学びました。
今現在NPOの活動を通して、人と会ってふれあうという欲求を満たされている山田さんはとても生き生きしておられました!
私たちに、そして今の社会に必要なことはこの精神なのではないでしょうか。
高収入ではありますが劣悪な職場環境と労働条件の中で働くサラリーマンの方が増えてきてる世の中です。
今一度、私たち日本の社会の中に生きる人々は、お金と収入のはかりをもう一度見直してみるべきだと思います。
今回の取材では私たち大学生もいずれ社会人になる身として、人生で大切なものは決して一つではないということを学ぶよいきっかけとなりました。
以上、ここまで長い文章となりましたが、目を通してくださった方、ほんとうにありがとうございます。
取材に応じてくださり、丁寧なアドバイスたくさんしてくださった山田さんには感謝しきれません。
これで私たちの取材の報告を終わりにしたいと思います。