【テーマ】家族の世話をしながら働きやすい職場(C班)
【取材先】有機農園けのひ 北原祥子さん
【メンバー】山田恵季 吉田季帆 石崎悠太 林大夢 星野彰太
私たちの班では、「家族の世話をしながら働きやすい職場」というテーマを考えたときに、職場というのは、企業だけではなく、農業などの自営業もそれにあたると考えていました。そこに、脱サラをして、夫婦で農業を営みながら、3人のお子さんを育てているという「有機農園けのひ」の北原さんと出会いました。北原さんご夫婦は、お二人とももともとは、企業に就職をして働いていて、お二人ともが企業勤めの時に第一子を出産され、農園の開園に向けて、旦那さんの瞬さんが先に脱サラをされ、奥さんの祥子さんが企業勤めの時に第二子を、そして、祥子さんも脱サラをされ、二人が農家としてスタートし、今年の春に第三子を出産されました。今回は、企業勤めの時の子育てと、農家として働き始めてからの子育ての両方を経験されているということで、 有機農園けのひ の 北原祥子さんにお話を伺いました。
〇有機農園けのひ 北原さんご夫婦は、東京都の八王子にて、農園を営んでいます。有機農園けのひでは、無農薬を掲げ、農薬を使うなら農業はやらないというこだわりをもって、大切に野菜を育てているそうです。また、一般の方を農園に招き、農業体験を兼ねた大豆栽培を行い、その収益をもってガーナのカカオ農家の就学支援をするという 「SOY for CACAO」というプロジェクトにも取り組んでおられるそうです。
〇北原祥子さんのキャリアと子育ての経緯 祥子さんはSEIYUで9年間働いて、色々な部署で仕事をし、キャリアを積まれていました。また、高校時代に一年間海外留学をして語学を磨いたことを生かして、米国のウォルマートから来た重役の方の秘書を務めるなど、多岐にわたって活躍されていました。第一子と第二子はSEIYU勤務時に出産され、仕事と育児の両方をこなされていました。
第一子を出産したときは、SEIYUで育児休暇を1年4か月取得。
(時期もあり、保育園に入れず延長。最大1年半まで育休可能)
(旦那さんもサラリーマン@銀座勤務)
第二子を出産した時は、SEIYUで育児休暇を1年ちょうど取得。
(旦那は脱サラ、農業研修@成田)
第三子も育休をとるようまわりからはすすめられたけれど、退職を選択。農家へ転職。
(旦那は独立営農@八王子)
この経緯を踏まえて、いくつか質問をさせていただきました!
●Q.SEIYU勤務時と現在(農家)で、子育ての環境はどう変化しましたか?
A. 【会社に勤めているとき】
SEIYUには、育児休暇制度や、出産手当金、育児中の勤務時間短縮など支援制度は整っていて、復職する際も、産休中の部署の移動が禁止されているなど、職場に戻りやすい配慮がされていました。また、フレックスタイム制はなかったけれど、上司の了承をもらい、一時間勤務時間をシフトさせてもらって8時~16時で勤務をしていました。(本来は9時~18時勤務のところ、1時間短縮も含む)
一日の生活は、
通勤に片道1時間半~2時間かかるため、朝は4時起き、家事をしてから6時頃に電車に乗る。帰りは17:30に駅につき、保育園直行。会議や突発的な残業があると、両親に電話して保育園のお迎えを頼んでいた。さらに夕食まで食べさせておいてもらうこともあった。
といった感じでした。
会社勤務時は、生活をまわすのに必死で、子育てに時間をかけられませんでした。だけど、産休・育休中は、会社からお金もでるので収入の不安は少ない状態で育児に専念できるのは良い点でした。
【農家として働いているとき】
子育て中心の生活。農業はまだ二人で100%取り組めないけど、子どもが小さいうちだけなので、子育てを優先しています。産休・育休というものがないので、育児してるだけでは勝手にお金が入ってることがないので多少無理しても仕事をせざるを得ないときもあります。仕事内容としては、まだ生後3か月の子がいるので、私は家でケアしながら、農業事務作業をサポートする程度になっています。出荷が多い日は旦那だけでは間に合わないので、三番目の子供だけ連れて畑に行くこともあります。子どもたちが保育園に行っている間に家事ができるので帰宅後すぐにごはんを出せるし、一緒にあそぶ時間があるのはよいところです。
●Q.子供と触れ合う時間というのは変化がありましたか?
A.会社に勤務していた時は帰宅してすぐ夕食の支度やお風呂などで子どもと遊ぶ時間はほとんどありませんでした。平日に子供と触れ合える時間はできましたが、今は、曜日は関係ないので、週末も家族全員でそろう時間は逆に少なくなっています。(基本的に父は畑へいっていて、子どもたちが半日畑で遊ぶこともあるが、お出かけなどはなかなかできない)
Q.なぜ農業をやろうと思ったのですか?
また、キャリアへの未練はありませんでしたか?
A.農業は、いつか二人で働けたらいいねという話をしていたところから、私が野菜に興味があり、瞬(旦那さん)が環境に興味があって、その二つを折り合わせて行きつきました。親戚の農家の様子をを幼少期に見ていたことも大きく影響していると思います。キャリアについては、私は西友で9年間働いて、色々な部署で仕事をしてスキルアップをしてきて自信もついてきてたから、キャリアに未練もありました。
辞めるのも悩んだけど、3人目の妊娠でなんか吹っ切れて、このままじゃキャリアを極めていくのも、子育ても、どちらも中途半端になっちゃう と思い辞める決断ができました。やっぱり、女性が子育てしながらキャリアも極めるってむずかしくて(男女平等と言えども、子育てにおいて女性しかこなせない役割が多いのも現実)…。でも自分の人生において、会社においてキャリアを極めることよりも、収入が少なくても有機農業をやること、子どもを産み育てることに価値を感じての選択なので、現状に後悔はないです。
今では、お金で何でも買えてしまって、時間をかけないことも容易にできます。けれど、子育ても、農業も、生活も、その一つ一つに手間をかけて、付加価値をつけて豊かにしていこうと思っています。
〇最後に中学生に向けて、メッセージをお願いします!
企業勤務していた時は、英語がとても役に立ちました。これからの時代は、海外とかかわることなしに生活していくのは無理だと思います。私は中学生の時に海外に関心を持ったおかげで、高校時代にホームステイをすることができて、それはキャリアにも大きく生きました。海外に関心を持ってください。
もうひとつは、いまやっていることを一生懸命やってください。いま経験していることが将来的には財産になるし、キャリアにもつながっていくかもしれません!
*インタビューを終えて
職場の環境をよくして、働きやすくするという目的で、育児補助等の制度を設けている企業は授業でも多く見てきましたが、実際にその制度を使っていた人のお話を聞くことができて、制度の向こう側を見れた気がしました。また、働き方を変えていくというのも一つのキャリア形成の形であると思いました。制度を利用することによって子育てをしながら働くことはできても、それはちゃんと子育てをしているといえるのだろうか。 大きな問いをいただいたような気がしています。
有機農園けのひ さんのブログ
http://blog.livedoor.jp/shun0301-notenki/archives/4500634.html
【取材先】有機農園けのひ 北原祥子さん
【メンバー】山田恵季 吉田季帆 石崎悠太 林大夢 星野彰太
私たちの班では、「家族の世話をしながら働きやすい職場」というテーマを考えたときに、職場というのは、企業だけではなく、農業などの自営業もそれにあたると考えていました。そこに、脱サラをして、夫婦で農業を営みながら、3人のお子さんを育てているという「有機農園けのひ」の北原さんと出会いました。北原さんご夫婦は、お二人とももともとは、企業に就職をして働いていて、お二人ともが企業勤めの時に第一子を出産され、農園の開園に向けて、旦那さんの瞬さんが先に脱サラをされ、奥さんの祥子さんが企業勤めの時に第二子を、そして、祥子さんも脱サラをされ、二人が農家としてスタートし、今年の春に第三子を出産されました。今回は、企業勤めの時の子育てと、農家として働き始めてからの子育ての両方を経験されているということで、 有機農園けのひ の 北原祥子さんにお話を伺いました。
〇有機農園けのひ 北原さんご夫婦は、東京都の八王子にて、農園を営んでいます。有機農園けのひでは、無農薬を掲げ、農薬を使うなら農業はやらないというこだわりをもって、大切に野菜を育てているそうです。また、一般の方を農園に招き、農業体験を兼ねた大豆栽培を行い、その収益をもってガーナのカカオ農家の就学支援をするという 「SOY for CACAO」というプロジェクトにも取り組んでおられるそうです。
〇北原祥子さんのキャリアと子育ての経緯 祥子さんはSEIYUで9年間働いて、色々な部署で仕事をし、キャリアを積まれていました。また、高校時代に一年間海外留学をして語学を磨いたことを生かして、米国のウォルマートから来た重役の方の秘書を務めるなど、多岐にわたって活躍されていました。第一子と第二子はSEIYU勤務時に出産され、仕事と育児の両方をこなされていました。
第一子を出産したときは、SEIYUで育児休暇を1年4か月取得。
(時期もあり、保育園に入れず延長。最大1年半まで育休可能)
(旦那さんもサラリーマン@銀座勤務)
第二子を出産した時は、SEIYUで育児休暇を1年ちょうど取得。
(旦那は脱サラ、農業研修@成田)
第三子も育休をとるようまわりからはすすめられたけれど、退職を選択。農家へ転職。
(旦那は独立営農@八王子)
この経緯を踏まえて、いくつか質問をさせていただきました!
●Q.SEIYU勤務時と現在(農家)で、子育ての環境はどう変化しましたか?
A. 【会社に勤めているとき】
SEIYUには、育児休暇制度や、出産手当金、育児中の勤務時間短縮など支援制度は整っていて、復職する際も、産休中の部署の移動が禁止されているなど、職場に戻りやすい配慮がされていました。また、フレックスタイム制はなかったけれど、上司の了承をもらい、一時間勤務時間をシフトさせてもらって8時~16時で勤務をしていました。(本来は9時~18時勤務のところ、1時間短縮も含む)
一日の生活は、
通勤に片道1時間半~2時間かかるため、朝は4時起き、家事をしてから6時頃に電車に乗る。帰りは17:30に駅につき、保育園直行。会議や突発的な残業があると、両親に電話して保育園のお迎えを頼んでいた。さらに夕食まで食べさせておいてもらうこともあった。
といった感じでした。
会社勤務時は、生活をまわすのに必死で、子育てに時間をかけられませんでした。だけど、産休・育休中は、会社からお金もでるので収入の不安は少ない状態で育児に専念できるのは良い点でした。
【農家として働いているとき】
子育て中心の生活。農業はまだ二人で100%取り組めないけど、子どもが小さいうちだけなので、子育てを優先しています。産休・育休というものがないので、育児してるだけでは勝手にお金が入ってることがないので多少無理しても仕事をせざるを得ないときもあります。仕事内容としては、まだ生後3か月の子がいるので、私は家でケアしながら、農業事務作業をサポートする程度になっています。出荷が多い日は旦那だけでは間に合わないので、三番目の子供だけ連れて畑に行くこともあります。子どもたちが保育園に行っている間に家事ができるので帰宅後すぐにごはんを出せるし、一緒にあそぶ時間があるのはよいところです。
●Q.子供と触れ合う時間というのは変化がありましたか?
A.会社に勤務していた時は帰宅してすぐ夕食の支度やお風呂などで子どもと遊ぶ時間はほとんどありませんでした。平日に子供と触れ合える時間はできましたが、今は、曜日は関係ないので、週末も家族全員でそろう時間は逆に少なくなっています。(基本的に父は畑へいっていて、子どもたちが半日畑で遊ぶこともあるが、お出かけなどはなかなかできない)
Q.なぜ農業をやろうと思ったのですか?
また、キャリアへの未練はありませんでしたか?
A.農業は、いつか二人で働けたらいいねという話をしていたところから、私が野菜に興味があり、瞬(旦那さん)が環境に興味があって、その二つを折り合わせて行きつきました。親戚の農家の様子をを幼少期に見ていたことも大きく影響していると思います。キャリアについては、私は西友で9年間働いて、色々な部署で仕事をしてスキルアップをしてきて自信もついてきてたから、キャリアに未練もありました。
辞めるのも悩んだけど、3人目の妊娠でなんか吹っ切れて、このままじゃキャリアを極めていくのも、子育ても、どちらも中途半端になっちゃう と思い辞める決断ができました。やっぱり、女性が子育てしながらキャリアも極めるってむずかしくて(男女平等と言えども、子育てにおいて女性しかこなせない役割が多いのも現実)…。でも自分の人生において、会社においてキャリアを極めることよりも、収入が少なくても有機農業をやること、子どもを産み育てることに価値を感じての選択なので、現状に後悔はないです。
今では、お金で何でも買えてしまって、時間をかけないことも容易にできます。けれど、子育ても、農業も、生活も、その一つ一つに手間をかけて、付加価値をつけて豊かにしていこうと思っています。
〇最後に中学生に向けて、メッセージをお願いします!
企業勤務していた時は、英語がとても役に立ちました。これからの時代は、海外とかかわることなしに生活していくのは無理だと思います。私は中学生の時に海外に関心を持ったおかげで、高校時代にホームステイをすることができて、それはキャリアにも大きく生きました。海外に関心を持ってください。
もうひとつは、いまやっていることを一生懸命やってください。いま経験していることが将来的には財産になるし、キャリアにもつながっていくかもしれません!
*インタビューを終えて
職場の環境をよくして、働きやすくするという目的で、育児補助等の制度を設けている企業は授業でも多く見てきましたが、実際にその制度を使っていた人のお話を聞くことができて、制度の向こう側を見れた気がしました。また、働き方を変えていくというのも一つのキャリア形成の形であると思いました。制度を利用することによって子育てをしながら働くことはできても、それはちゃんと子育てをしているといえるのだろうか。 大きな問いをいただいたような気がしています。
有機農園けのひ さんのブログ
http://blog.livedoor.jp/shun0301-notenki/archives/4500634.html