千葉大生が教える!「新世代職業ガイド」2013

千葉大学教育学部「キャリア教育」(2013・前期)では、ワークライフバランスなどに代表される、「新しい働き方」が求められる時代のキャリア教育のあり方について学びつつ、実際に「新しい働き方」に関するお仕事をされている方への取材活動を行っています。このブログでは、取材内容を、主に中学生を読者と想定した記事としてまとめ、発信をしていきます!

カテゴリ:2013 > 障がいを持つ人の雇用にかかわる仕事

【テーマ】障がいを持つ人の雇用にかかわる仕事(B班)
【取材先(会社名)】株式会社スタートトゥデイ  今村 愛様 梶田 悠様
【メンバー】入江一実 遠藤貴章 太田聖也 賈韶蕾 後藤景子 佐藤修平 中村未生

私達B班はZOZOTOWNを運営している株式会社スタートトゥデイの人自(人事)部の今村さんと梶田さんにお話しを伺ってきました。
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スタートトゥデイを取材先に選んだ理由は、経済産業省が「ダイバーシティ経営企業100選」としてこの会社を選んでいたからです。ダイバーシティ経営とは「多様な人材(女性、外国人、高齢者、障がい者等を含む)を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」であると経済産業省は定義しています。

そして経済産業省のホームページでは株式会社スタートトゥデイの紹介は以下のように紹介されています。
http://www.meti.go.jp/press/2012/03/20130322001/20130322001-4.pdf

さてここからは取材の話に入っていきます。
スタートトゥデイでは、ファッションショッピングサイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」の運営をはじめとして、「ヒト」「コト」「モノ」「スナップ」に特化したSNSサイト「ZOZOPEOPLE(ゾゾピープル)」などの、主にファッションに関わる事業を行っています。最近では、「WEAR(ウェア)」という新サービスをはじめることを発表し、メディアなどから注目を集めています。
また、新しい働き方として、日本では革新的な「6時間労働」の取組みを導入しています。
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質問1:どのような思いを持って働いていますか?
【企業理念】
世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。
【経営理念】
いい人をつくる
【事業理念】
つながる人を増やす

スタートトゥデイでは、この3つの理念を大切に事業を行っています。

いい人はいい会社をつくる。
いい会社はいい事業をつくる。
いい事業はいい文化をつくる。
いい文化はいい世界をつくる。

このような考えが私たちにはあるので、事業活動を通じて、世の中に少しでも多くの「いい人」を増やしながら、私たち自身も「いい人」を目指していきたいと考えています。そして、最終的には世界平和の実現ができればと思います。
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写真① 前澤社長の想いが詰まったエントランス

質問2:障がい者雇用はいつごろから取り組まれていますか?
本格的に障がい者雇用について取り組み始めたのは、実は3年ほど前からです。会社が成長してきて社会的責任が大きくなる中で、取り組むべきだと考え、現在は13名の障がい者の方が正社員として働いています。


質問3:障がい者の雇用について、どのように考えていますか?
私たちは、障がい者だからといって他の人と区別するつもりはなく、障害者の方のキャリア支援というよりは、人生支援というふうに考えています。業務の内容などもなるべく区別したくはないのですが、障がいの種類により環境の配慮を行わなくてはならない時もあります。しかし、環境を配慮することはあっても、障がいによって給料などの待遇を区別することはありません。障がい者の方だけでなく、私たちにもできることとできないことがあります。それぞれのできることとできないことを、互いに気づき助け合い、支え合うことが大切なのではないかと思います。「あなたができないことは私が、私ができないことはあなたが」という考えを持って、皆が楽しく安心して働けるように努めています。
私たちは、スタッフはみんな家族のようなものだと考えており、スタッフがそれぞれの個性を発揮でき、みんなが幸せになれるようにと願っています。だから、障がいがあっても他のスタッフと同じようにミスをした際には、その人と向き合い、ミスなどの原因を話し合う事で、その人自身が他のどの場所に行っても活躍できるように人生支援をしています。
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質問4:スタートトゥデイでは、スタッフの交流を深めるためのイベントもいろいろ行われているようですね?
スタートトゥデイでは、シゴトだけではなくスタッフのプライベートの時間も充実するように、6時間労働という働き方を導入したり、社内交流のイベントも多く開催しています。
スタッフみんなで同じ想いを共有したいという考えから行っています。
その際には、聴覚障がいを持つスタッフのために映像に字幕を加えたり、車いすのスタッフのために席順を工夫したりしています。
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質問5:このブログを読んでいる中学生に何か伝えたいことはありますか?
みなさんにはこれから、高校や大学の選択、さらにはシゴトの選択など、さまざまな人生の選択が待ち構えていると思います。そのような人生の分岐点に立った時、周りを気にするよりも、自分の心に素直になる、ということを忘れないようにしてください。自分の選択が正しいのか不安になることもあると思いますが、それが自分にとって幸せな選択肢なのであれば、それで良いと思います。幸せは一人ひとり違うので、自分にとって何がいちばん大切なことなのか、自分の心に素直になり、幸せな選択肢を選んでください。
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― インタビューを終えて ―
今回、私達は株式会社スタートトゥデイに取材をお願いしたところ、初めは「私達の会社では特に『障がい者のキャリア支援』という枠組みで支援をしていない」と回答を頂き、正直少し困惑しました。しかし、取材をしていくうちに、それは家族の様に他の人を思いやりたいという思いが根幹にあり、そのような思いがあるからこそ、「障がい」に対しても区別をしたくないという気持ちがあったからそのような回答だったのだと理解できました。このような考えを持った会社が増えることが、障がい者雇用を考える上で重要であると感じました。
またスタートトゥデイでは、一般的な会社で用いる「人事」をあえて「人自(じんじ)」として名刺に表していました。これは、「人の事」ではなく「自分の事」の様に、捉えたいという会社の思いが表れていました。いい人をつくり、いい人がだんだん増えていき、最終的には世界平和に繋げていきたいという思いが、ここにも表れていました。
株式会社スタートトゥデイの今村様、梶田様、大変お忙しい中、インタビューに応じて下さり本当に有り難うございました!
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【テーマ】障がいを持つ人の雇用に関わる仕事
【取材先】社会福祉法人あひるの会 あかね園 副園長 松尾公平さん
【メンバー】石井 洸大 遠藤 嘉仁 岡 健太郎 西川 貴大 羽田 優


私たち5人は、習志野市にある、あかね園を取材してきました。

 ここは、障がいがあっても地域で働き暮らすために、作業と生活の訓練や実習を重ね、できる限り自立した生活ができるように支援し、利用者が長く安心して豊かに地域で暮らせるよう支えることを目的とした障がい者就業・生活支援センターです。


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                          あかね園の外観


インタビューを受けて下さったのは、副園長の松尾公平さんでした。
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 私たちは、まず初めに、松尾さんに連れられて実際の雇用訓練を行っている現場を見学に行きました。
 
 私たちが現場に入ると、障がい者の方々が真摯に仕事に取り組んでいる様子を見ることができました。

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 ここでは実際に企業から依頼された仕事を一日の決められたノルマを達成するという、実際に企業に就職するのとほぼ変わらない条件で障がい者の方々が働いています。
 
 またここで重視されていることは、どの会社に行っても必要なことである、『相手ときちんと話し合える姿勢、あいさつ、身だしなみ、時間をきちんと守ること』という働くことの基礎の基礎!
 松尾さんは「素直な人材、会社から必要とされる人材を育てることがこの事業の目的です。」とおっしゃっていて、実際に訓練を受けていた障がい者の方々は、私たちを見ると笑顔で挨拶をしてくれたり、みだしなみも整っていて、まじめに仕事をこなしているところを私たちは見ることができました。


あかね園で大事にしていること 

 社会に通用する人材を育てること。
 これは、私たちが見学をしていく最中で何度も松尾さんが触れていたことでした。
 そのために、あかね園では実社会に近い形での職業訓練を行っています。会社に入った後で、『こんなはずじゃなかった』という思いをさせないようにするために、与えられた仕事のノルマが達成できなかった時には残業を課したり、みだしなみが整っていないときは、仕事すらさせない時もあるという話もありました。
   
 さらに、アフターケアを充実させ、企業に就職した後も就職先の会社に何度も顔をだし、何か問題があればすぐに手を打ったりと様々な形で企業、障がい者、その保護者の信頼を得ています。



実社会と差がない訓練とはどのような内容ですか?

 たとえば、仕事が終わって終礼の際、ホワイトボードに議題や要点を書く人がいました。これは、障がい者の中に2人だけ聴覚障害を持つ人がいるためだということ。しかし、手話を使って伝えることもできるのに、どうしてホワイトボードに書いて伝えているのでしょうか?
 実は、あかね園では手話は使ってはいけないことになっています。実際に会社に入ったとき、職場に手話が使える人がいることはほとんどありません。このために、何か伝えようとするならば、筆談で書かせてやるようにしているし、過度な配慮はしないことで実社会との差をなくすためだと考えているからです。
 また、福祉施設といえば、自主制作品(パン作りなど)を行うところが多いですが、あかね園ではやっていません。すべて仕事を実際の企業、会社からもらってきて行うことで、これも実社会に近い形で訓練を行うようにしているようです。



職員の方はどのような方がいますか?

 従業員の数は、正規雇用、非正規雇用でそれぞれ合わせて50人弱にも及びます。
 職員の中には、非常勤として社会経験豊富な方に訓練をお願いしていることがあります。これは例えば60歳以上の方に実際の職場経験を活かして指導してもらうといったことが挙げられます。この取り組みは、NHKでも取り上げられました。

訓練を受ける際の障がい者の費用の負担はどうなっているのか?

 費用の負担は、障がい者の地域の市町村が9割を負担するという制度になっています。なので、障がい者が負担する費用は残りの1割となっていますが、これさえも就職していない障がい者にとっては大きな負担となってしまうため、利用者それぞれの収入に応じて増減されるという結果に落ち着きました。
 また、企業からあかね園がもらってきた仕事をすることで得た収入は、工賃として利用者に支払います。


この仕事についてどのように感じていますか?

 障がいを持っている人でもこんなにやれるんだよというような意識を社会的に芽生えさせたいと考えていて、そこにやりがいを感じています。今では社会的に障がい者について理解はされてきているが、まだまだ認められていません。障がい特性にもよるが、健常者より集中力があり、仕事ができる人はたくさんいます。このことを社会的に認めさせていくのが自分のやらなくてはいけないことで、この仕事を通してみなさんにこのことを知ってもらいたい。とても大変で忙しいが、やりがいは職員全体がみんな感じていることではないでしょうか?





 私たちはあかね園へのインタビューを終えて、普通の福祉施設とはやっていることが全然違う!と感じました。
『福祉→かわいそう→仕事、社会的なマナーやルールなどに関してハードルを下げてあげよう』といった考えは全くなく、むしろ障がいといったハンディキャップを抱えているからこそ、より厳しく実社会との差がないような形で接することで雇用訓練を行うといった事業にはとても感銘を受けました。
 このような事業が広がれば、世間に対する障がい者のイメージや、もちろん雇用に関しても変化していくだろうと感じました。


 以下、あかね園さんのリンクになります。興味がある方はHPのほうもご覧になってください。

http://www.akaneen.com/ 

【テーマ】障害者を持つ人の雇用に関わる仕事
【取材先】特定非営利活動法人ワークス未来千葉 千葉障害者就業支援キャリアセンタ   
    ー  センター長 藤尾 健二さん
【メンバー】 勇恭子 前野美夢 鈴木貴子 末永眞子 駒崎菖

 私たちは「障害を持つ人の雇用にかかわる仕事」というテーマのもとに、千葉市美浜区にある千葉障害者就業支援キャリアセンターを取材しました。まずこのセンターはどういった所なのかということについて説明します。

 このセンターは、障害があるが働きたい!という方の支援や障害者を雇用する立場にある事業主の方への支援を行うセンターです。

「皆が当たり前に障害者を雇用する環境が本来のもの。でもそれができないからこのセンターがあるんです。例えば受け入れる会社に理解がなかったりノウハウがなかったり、働く側にそういう気持ち、準備、スキルがなかったり。そこの穴埋めをするためのセンターなんです。」というお話でした。

では次に、取材の内容や分かったことなどを紹介していきます。

   
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               外から見た建物の様子


質問1 事業主の方への支援を行っているということですが、どのくらいの企業から申し込みがくるのですか? 
「障害者雇用促進法というものに、どのくらいの障害者を企業が雇用しなければならないかということが決められていますが、その対象企業については平成22年に改正があり、就業者数が301人を超える企業から200人を超える企業になりました。
また、平成27年にまた法の改正があり100人を超える企業になります。このことから、
小さい規模の会社も相談にきます。業種はありとあらゆるものです。入ってない業種
を探す方が大変かも。」

☆リンク☆
厚生労働省ホームページ 障害者雇用対策について
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/index.html


質問2 ここで訓練をした人はどのような職についているのですか?
「いろいろな職に就いています。有名テーマパークののバックヤードとか、空港で行機の機内でのシートのセットとか。大卒の社員と同じ条件で働く人もいます。しかし、能力の限界はあるのでみんなが同じ職に付けるとは限りません。一般の人と同じで、希望と能力の合う合わないはあります。

ただ、障害者だからダメ、と切ることのないよう私たちはサポートしていかなければ
ならないと思っています。
課題としては、正社員としての雇用が少ないことですね。」

質問3 どのような形で訓練を行っているのですか?
「基本は技術を身に付ける訓練ではないので職業習慣(時間管理・身だしなみ、言葉遣い、挨拶等に気を付け集団の中で生活すること・会社のルールに合わせて生活すること)を身に付けます。

技術的なことは他の施設にリファーします。ここが全てじゃなく、それぞれの目的によって利用するものも変わってきます。
    
どういった施設と連携しているのですか?
「ハローワーク、県にも千葉市にもある発達障害者支援センター、特別支援学校、医療機関等ですね。特に医療との関係は切っても切り離せないものです。
連携を取るために、ネットワーク会議を2月に1回開いています。」

質問4 仕事のサポートの他に心のサポート等はどのように行っているのですか? 
「このセンターは職業リハビリテーションの役割をしているので、かなり厳しいです。朝は唱和から始まるんですよ!当然いやだと思う人も出てきますね。そういった話を聞いてあげたりする部分は、他の連携している施設に助けてもらいます。
役割分担が大事なんです。」

質問5 やりがいを感じる時はどのような時ですか? 
障害のある人たちの中には、親が過保護になってしまうなどの理由で、様々な経験をするチャンスを得ることなく一生を過ごす方も多くいます。それは、ある意味不幸な事かもしれない。もっといろいろなことができるチャンスがあったかもしれないのに。
この仕事を通してもっといろいろなことを経験してほしいと思います。やりがいとは言えないかもしれないけど、そういう所なのかも。

質問6 はじめにこのしごとにつこうと思った経験はありますか?
「もともとは北海道でホテルマンをやっていて。食うに食えなくなって転職したのが障害者を雇用することを目的として作られた会社でした。

特例子会社といって、大企業が障害者雇用を進めるために設立する子会社です。
そこで障害者と関わった経験が大きいと思います。」

なぜ働くのか?
 「なぜ障害者が働かなければならないのか、当然食べていけないからということはあります。しかしそれだけでなく、仕事は自分が社会に参加していることを実感するとても重要な場所であり、生きる希望や喜びにつながるんです。障害者に限らず、働ける人は働かなければ堕落してしまうと思います。」
 
 
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訓練風景

この仕事に向いている人は…
私たちは自分の経験した経験値の中から支援していかなくてはならない。いろいろなことを受け入れられることがベースになってきます。だから人生経験豊富な人の方がどんと構えてられる。本人があわてちゃうような人だとやっぱり支援はできない。

障害者のことを分からないからこわくて嫌いって思っちゃう人が多い。分からないから怖い、分からないから嫌い、関わりたくないと思ってしまう人が多いと感じる。それが偏見につながる。

障害者の問題に限らず、今の日本にある様々な偏見を変えていくのは多分教育でしかないんだろうなと。育っていく過程の中でいろいろ学ぶ機会があるとすごくいいと思う。


あとは自分が好きな人は無理かもしれない。黒子なんですよ基本は。大切な役なんだけど前面には絶対に出てこない。一時は感謝されるけどすぐに忘れられる。それでいいんです。そうならなきゃいけない。会社と本人がうまくいっている関係っていうのは僕らがいらない関係なんです。そうならなきゃいけないので、それが寂しいとかいつまでも感謝されたいとかいう人は合わないですね。



★今回の取材を通して一番感じたことは、障害者を当たり前に雇用する環境が整っていればこのような施設は必要ないものなのだということです。障害者にとって良い環境ではないからこそこのような施設がある、ということを知っておかなければなりません。
  
  また、働くことの意味や働き方について、もう一度よく考えてみる必要がありそうです。

☆リンク☆千葉障碍者就業支援キャリアセンターホームページ
http://www.syougaisya-career.or.jp/

【テーマ】障害も持つ人の雇用にかかわる仕事(D班)
【取材先】明朗塾 内藤 晃さん
【メンバー】浦橋美咲 丸谷美樹 伊介麻央 大谷翔太郎 西川拓 土屋尚也 志賀大輝


 私たちは、障害者雇用にかかわる仕事をしていらっしゃる明朗塾の常務理事の内藤晃さんにお話を伺ってきました。
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 初めに分かりやすい例え話をしていただきました。
 いきなりですが、みなさんが飲食店に行く理由はなんですか?おそらく多くの人が、まずは、空腹を満たすために飲食店へ行くと答えると思います。しかし、その理由のためだけに行くのではないと思います。飲食店の例として、回転寿司とマスターがいるようなお寿司屋さんの二つを考えます。回転寿司は一言も話すことなく、食べることができるので、空腹を満たすためにはよいところです。それに比べてマスターがいるお寿司屋さんには、マスターとの会話を楽しむことができたり、宴会場として利用でき、空腹を満たすためだけでなく、その時間を楽しむという良さがあります。
この例え話から言いたいことは、満足を与えることが大切であるということです。


働くことってどういうこと?
 人が働くことは、作業をこなす=仕事と思われがちですが、それだけではないのです。人が働くということは、人に満足や幸福感を与えることを言います。例え話で置き換えると、空腹を満たすことは作業をこなすことで、空腹を満たしつつその時間を楽しませることが、働くことの本質だと思います。また仕事はその職場の人間関係が大切で、怒られるか褒められるかでも影響がでてくるものであります。


どのような障害者雇用をしているのですか?
 障害者雇用は、障害者の仕事能力を調べて、その人に合った仕事をさせるというように考えられていましたが、それは違うと考えます。なぜなら、僕ら(健常者)はそんなことされてきていないから。僕らはあらかじめトレーニングをさせられて採用されるということはないので、そういう考え方はやめています。
 ではどこを重視するかというと、人のために一生懸命働くことができるかを重視しています。


仕事をするうえで、必要なことについてもう少し知るためのエピソードも話していただきました!!
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①松下幸之助さんのお話(旧松下電気、現パナソニック) 
 子供のころ、これからは電気が活躍する時代がやってくると感じた。工場で電球を磨いている人に対して「いい仕事してるね!」と言った。それに対して働いている人は「いいえ、営業をしてまわっている人に比べたら地味な仕事です」と言った。それに対して、「電球は夜の暗い道を一人で歩く人にとっては安心を与えたりといい仕事、大切な役割をになっているんだよ」と答えたり、「電球は暗くなってきたときに勉強をするために必要で、子どもの未来を作っているんだよ」と答えた。
②大分県 ねむり屋のお話(布団屋) 
 現在、布団販売のみで営業しているところはほとんどないにもかかわらず、ねむり屋さんはすごく売れていて、さらに単価も高い。お客さんが「枕ください」と来たとき、社長が「あなたを枕を買いに来たんではない。あなたは今夜の熟睡と明日の爽やかな目覚めを買い求めに来たんですよね」と伝え、2~3千円の予算できたお客さんが2~3万円のものを買っていく。


 以上の二つの話からも、仕事というものは人を満足させることが大切ということが分かります。


 ここで、内藤さんのお仕事について見てみましょう。内藤さんは障害者が就職しようとするときに、その企業と、障害者とをつなぐ仕事(JobCoach)をしていらっしゃいます。


具体的にどんなことをしているの?
 これから面接をして就職しようとしている障害のある方に声掛けをしています。どんな声掛けかというと、さっきの例え話のねむり屋さん(布団屋)は社長が違う。布団はお客さんに素敵な眠りを提供するために進めているんだよ。と声をかける。逆に、布団は重くて、大変だよ。とは声をかけない。つまり、仕事が大変かどうかの声をかけるのではなく、お客さんの幸せを得ることに価値があるということを伝えています。そうすると仕事ががんばれるようになると思います。そうなることを目指しています。

障害者雇用支援が上手くいっていますか?
 人は正直な気持ちを言わないことが多い。例えば、服屋に行って「何かお探しですか」と聞かれ、探しているのに、「いいえ」と答えてしまう人がいると思います。それは何も買わないときに申し訳ない気持ちがあるからです。企業も同じで、障害者を募集していないと答えるところが多い。それは、気に入らなかった時、申し訳ないからである。このような考え方が変わってくると、障害者雇用もうまくいくと思ってます。

 
 障害者雇用支援をしていらっしゃる、明朗塾の内藤さんに取材させていただき、思ったことは、障害を持つ人にかかわる仕事といってもたくさんあるんだなと感じました。障害者を雇用するだけが、障害を持つ人にかかわる仕事ということはなく、障害を持つ人が就職しようとするときに、企業と障害者の仲介としての仕事もすごく大切なことだと分かりました。仲介の人の声掛け次第で、働こうとしている人のやる気を出すことができ、その人の才能を伸ばすきっかけを作ることもできます。その結果、企業にもいい影響を与えます。このようなかかわり方を知ることができ、とてもためになるお話でした。
 本当にありがとうございました。
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