【テーマ】低収入で豊かに生活する生き方B班
【取材先】前田商店 前田敏之さん
【メンバー】大塚みのり、金子真大、稲垣建人、陽卓矢、菊地美穂
「低収入で豊かに暮らす」ことを実践している、木更津市の前田敏之さんを訪ねた。
社会に出て、自立した生活をする…そのことを考えると、出来るだけたくさん稼いだ方がいい、と考えている人もいるのでは?だって、欲しいものもいっぱいあるし、生活するにはたくさんのお金が必要そうだもんね。
でも、本当にそうなのかな?
豊かに幸せに暮らすことと、お金をたくさん稼ぐことはイコールなんだろうか。
前田さんは、システムエンジニアとして12年勤め、その技術をもって青年海外協力隊として、ミクロネシア連邦ヤップ州で2年活動。環境と有機農業を学ぶため、ドイツで1年過ごした。
ミクロネシア連邦→http://www.visit-micronesia.fm/jp/index.html
日本も島国だけれど、同じ島でも、ミクロネシア連邦とは全く違う。
仕事が終わると海で過ごす…というような生活をするうちに、自然の中で過ごすことが好きになった前田さん。帰国してからもホームレスの人と一緒に過ごしてみたりして、生き方・働き方への視点がサラリーマン時代とは変わっていった。
そして帰国後、福島県郡山市でアンティークと地産地消の店舗を経営しながら、月3万円ビジネス提唱者で非電化工房主宰の藤村靖之さん(http://www.hidenka.net/indexj.htm)の「地方で仕事を創る塾」で学んだ。前田敏之さんは木更津の地で米作りワークショップ、焼き芋ビジネス、システムエンジニアの経験を活かしてWEB構築の仕事をなさっている。
1つのビジネスからの収入(いいことを仕事にする、地方で仕事を分かち合うなど)を、1ヶ月3万円ぐらい得られるようにする。そんなビジネスを複数持つことで生活は成り立つし、そのアイデアを仲間とシェアすることで、誰もが「組織に縛られる不自由さ」から自由になれる…これが、月3万円ビジネスのコンセプトだ。そもそも「月3万円ビジネス」に興味を持つきっかけとなったのは、ある日にみた、自分が海外青年協力隊として働いているという夢だったと前田さんはおっしゃっていた。
自分で仕事をつくる=「起業」というと、とても大変なこと!というイメージがあると思うけれど、自分の出来ることで、1ヶ月3万円を稼ぐことは出来ないかな?と考えてみてほしい。実は、中学生でも出来そうなこと、あるんじゃないかな?
さて、どんな風に月3万円ビジネスを展開していこうかと思案していた矢先、東日本大震災が起こり、被災。
無事だったものの、店舗を続けていくことは出来ないという中、被災者支援ボランティアとしても活躍。
その後、東京に一時居を移し、自分のやりたいことを実現出来る場を探した。
友人に自分の夢見ていることを具体的に語り、絵にしてもらった。
自然と人間が共存しする、自由なコミュニティが描かれたその絵を今も大切にしている。
そして、木更津を選んだ。
木更津は田畑があり、里山があり、海に面していて、「都会の人にみせたい」ロケーションがそろっている。そして、東京からバスで1時間とアクセスが良いのが魅力。様々なイベントをする際の集客を考えると、この点は大きい。「やりたいこと」と「それが仕事になるか」の両方を考えているからこその選択、というわけだ。
今は田畑を借りて耕作し、農業体験の場にしている。そして、これまでのキャリアを活かし、ホームページ作成支援などの仕事もしている。
前田さんは、今の働き方を選んだことで、時間を自由に使えるという豊かさを得たと言う。そして、それは本来は当たり前のことだとも…。
このことは、きっと、まだ働いた経験のないみんなにもわかることだと思う。
「自由」って、とても大切なことだよね。この「自由」が大切という考えは海外での経験を経ていつ死ぬかわからない人生において自分の時間を持ちながらビジネスを行うという選択肢もあるのではないだろうかと思うようになったところからだった。
自由な時間が十分あって、趣味はインド楽器のタブラの演奏。集まりやカフェで演奏会なんか出来たらいいなぁ、と練習を楽しんでいるだけでなく、その演奏を人と分かち合うのも楽しみにしているようだ。
前田さんは「趣味」と「仕事」と「社会活動」を分けて考えているのではなく、むしろ、すべてがひとつになっているようだ。
やりたいことの中に仕事になる面もある、という感じ。
お話を伺う中で、「~しないといけない」という言い方は当然なくて、「~ってなったら~しようかな」という言い方が多かった。
どんな苦労があるかという問いに、いつも苦労はある、やってみて分かることもあるし、波があるからと答えてくれたけれど、どう見ても、その苦労を楽しんでいるような顔だった。
自分がやりたいことを、やりたいように取り組んでいると、いいことが起こっても、そうでないことが起こっても、その時々の良さそうな方向を自然に選べるのかもしれない。
でも、きっと、その「選ぶ力」は、労働時間が長く大変に忙しいサラリーマン生活や、海外での経験によって培われたのだと思う。
とここで、お金がかかるものってなんだろう?
家賃と車のガソリン代、病院に行くお金と税金です。他の支出は減らせます。米や野菜を作り自給自足しているので食費がかかりません。冷蔵庫がないので出かけるときはブレーカーを落とし電気代を節約します。生活を楽しんでいるので特別な娯楽費もいらない。
支出の少ない生活を実践している前田さんの電気代はなんと約300円!!環境にも優しいですね。みなさんも自分の生活を見直してはどうだろうか?
こちらの写真が前田さんのつくっている畑と田んぼです。この面積の田んぼで一年間二人分のお米がとれるそうだ。
手作業・無農薬・無化学肥料を目指し、米を育てている。コシヒカリと黒米(古代米)。苗から育てているそうで、それは実は今では珍しいこと。これは自給自足生活の一部分ですごく楽しいみたいだ。
時間をかけて開墾した畑だが、イノシシが心配。この近くはイノシシがいて、せっかく育てた作物も取られそうで怖いみたいである。
里山保全の仲間と作ったこの場所で、集い、語らう。ここで、仲間と語り合うことがすごく楽しく一番の娯楽になっているみたいだ。
この取材で、一番感じたのは、常に生活を楽しんでいて、見ているこちらも幸せを分けてもらえそうなほど、楽しい生活をおくっているのだなと思った。
最後に中学生のみんなに伝えたいことは?と聞いた時の前田さんの答は明快で、力強かった。
「楽しめ!死ぬな!大人は楽しいぞ!」
そう!大人は楽しい。
自分で生き方を選んで、人とのつながりを大切にする、そんな豊かさは、収入の先にやってくるのではない。
今を楽しみ、命を大切にする、その先にもっと楽しいことも豊かさも待っている。
【取材先】前田商店 前田敏之さん
【メンバー】大塚みのり、金子真大、稲垣建人、陽卓矢、菊地美穂
「低収入で豊かに暮らす」ことを実践している、木更津市の前田敏之さんを訪ねた。
社会に出て、自立した生活をする…そのことを考えると、出来るだけたくさん稼いだ方がいい、と考えている人もいるのでは?だって、欲しいものもいっぱいあるし、生活するにはたくさんのお金が必要そうだもんね。
でも、本当にそうなのかな?
豊かに幸せに暮らすことと、お金をたくさん稼ぐことはイコールなんだろうか。
前田さんは、システムエンジニアとして12年勤め、その技術をもって青年海外協力隊として、ミクロネシア連邦ヤップ州で2年活動。環境と有機農業を学ぶため、ドイツで1年過ごした。
ミクロネシア連邦→http://www.visit-micronesia.fm/jp/index.html
日本も島国だけれど、同じ島でも、ミクロネシア連邦とは全く違う。
仕事が終わると海で過ごす…というような生活をするうちに、自然の中で過ごすことが好きになった前田さん。帰国してからもホームレスの人と一緒に過ごしてみたりして、生き方・働き方への視点がサラリーマン時代とは変わっていった。
そして帰国後、福島県郡山市でアンティークと地産地消の店舗を経営しながら、月3万円ビジネス提唱者で非電化工房主宰の藤村靖之さん(http://www.hidenka.net/indexj.htm)の「地方で仕事を創る塾」で学んだ。前田敏之さんは木更津の地で米作りワークショップ、焼き芋ビジネス、システムエンジニアの経験を活かしてWEB構築の仕事をなさっている。
1つのビジネスからの収入(いいことを仕事にする、地方で仕事を分かち合うなど)を、1ヶ月3万円ぐらい得られるようにする。そんなビジネスを複数持つことで生活は成り立つし、そのアイデアを仲間とシェアすることで、誰もが「組織に縛られる不自由さ」から自由になれる…これが、月3万円ビジネスのコンセプトだ。そもそも「月3万円ビジネス」に興味を持つきっかけとなったのは、ある日にみた、自分が海外青年協力隊として働いているという夢だったと前田さんはおっしゃっていた。
自分で仕事をつくる=「起業」というと、とても大変なこと!というイメージがあると思うけれど、自分の出来ることで、1ヶ月3万円を稼ぐことは出来ないかな?と考えてみてほしい。実は、中学生でも出来そうなこと、あるんじゃないかな?
さて、どんな風に月3万円ビジネスを展開していこうかと思案していた矢先、東日本大震災が起こり、被災。
無事だったものの、店舗を続けていくことは出来ないという中、被災者支援ボランティアとしても活躍。
その後、東京に一時居を移し、自分のやりたいことを実現出来る場を探した。
友人に自分の夢見ていることを具体的に語り、絵にしてもらった。
自然と人間が共存しする、自由なコミュニティが描かれたその絵を今も大切にしている。
そして、木更津を選んだ。
木更津は田畑があり、里山があり、海に面していて、「都会の人にみせたい」ロケーションがそろっている。そして、東京からバスで1時間とアクセスが良いのが魅力。様々なイベントをする際の集客を考えると、この点は大きい。「やりたいこと」と「それが仕事になるか」の両方を考えているからこその選択、というわけだ。
今は田畑を借りて耕作し、農業体験の場にしている。そして、これまでのキャリアを活かし、ホームページ作成支援などの仕事もしている。
前田さんは、今の働き方を選んだことで、時間を自由に使えるという豊かさを得たと言う。そして、それは本来は当たり前のことだとも…。
このことは、きっと、まだ働いた経験のないみんなにもわかることだと思う。
「自由」って、とても大切なことだよね。この「自由」が大切という考えは海外での経験を経ていつ死ぬかわからない人生において自分の時間を持ちながらビジネスを行うという選択肢もあるのではないだろうかと思うようになったところからだった。
自由な時間が十分あって、趣味はインド楽器のタブラの演奏。集まりやカフェで演奏会なんか出来たらいいなぁ、と練習を楽しんでいるだけでなく、その演奏を人と分かち合うのも楽しみにしているようだ。
前田さんは「趣味」と「仕事」と「社会活動」を分けて考えているのではなく、むしろ、すべてがひとつになっているようだ。
やりたいことの中に仕事になる面もある、という感じ。
お話を伺う中で、「~しないといけない」という言い方は当然なくて、「~ってなったら~しようかな」という言い方が多かった。
どんな苦労があるかという問いに、いつも苦労はある、やってみて分かることもあるし、波があるからと答えてくれたけれど、どう見ても、その苦労を楽しんでいるような顔だった。
自分がやりたいことを、やりたいように取り組んでいると、いいことが起こっても、そうでないことが起こっても、その時々の良さそうな方向を自然に選べるのかもしれない。
でも、きっと、その「選ぶ力」は、労働時間が長く大変に忙しいサラリーマン生活や、海外での経験によって培われたのだと思う。
とここで、お金がかかるものってなんだろう?
家賃と車のガソリン代、病院に行くお金と税金です。他の支出は減らせます。米や野菜を作り自給自足しているので食費がかかりません。冷蔵庫がないので出かけるときはブレーカーを落とし電気代を節約します。生活を楽しんでいるので特別な娯楽費もいらない。
支出の少ない生活を実践している前田さんの電気代はなんと約300円!!環境にも優しいですね。みなさんも自分の生活を見直してはどうだろうか?
こちらの写真が前田さんのつくっている畑と田んぼです。この面積の田んぼで一年間二人分のお米がとれるそうだ。
手作業・無農薬・無化学肥料を目指し、米を育てている。コシヒカリと黒米(古代米)。苗から育てているそうで、それは実は今では珍しいこと。これは自給自足生活の一部分ですごく楽しいみたいだ。
時間をかけて開墾した畑だが、イノシシが心配。この近くはイノシシがいて、せっかく育てた作物も取られそうで怖いみたいである。
里山保全の仲間と作ったこの場所で、集い、語らう。ここで、仲間と語り合うことがすごく楽しく一番の娯楽になっているみたいだ。
この取材で、一番感じたのは、常に生活を楽しんでいて、見ているこちらも幸せを分けてもらえそうなほど、楽しい生活をおくっているのだなと思った。
最後に中学生のみんなに伝えたいことは?と聞いた時の前田さんの答は明快で、力強かった。
「楽しめ!死ぬな!大人は楽しいぞ!」
そう!大人は楽しい。
自分で生き方を選んで、人とのつながりを大切にする、そんな豊かさは、収入の先にやってくるのではない。
今を楽しみ、命を大切にする、その先にもっと楽しいことも豊かさも待っている。